安全情報

狂犬病

インドネシアは狂犬病の汚染国で、毎年百名程の死者が出ています。スマトラ島、スラウェシ島、カリマンタン島など各地で感染が報告されており、バリ島では2008年に流行が始まって以降、2015年3月までに151人が死亡(疑い例を含む)しています(バリ州保健局)。狂犬病は一度発症したら助かりませんが、咬まれた直後なら発症を防ぐことは可能です。咬まれた場合は、傷口を石鹸水で洗うと共に即刻ワクチン接種を受けて下さい。特に顔や首を咬まれた場合は一刻を争います。狂犬病をインドネシア語では「Rabies(ラビエス)」と言います。

1.感染源

狂「犬」病という名称ですが、犬だけでなく、猫、ネズミ、イタチ、サル等やコウモリからも感染することがあります。動物の唾液中に存在するウイルスが、咬まれた際に咬傷から侵入して感染します。空気感染は殆ど無いとされています。バリ島では放し飼いの犬や野犬が多いためか、2008年に発症が確認された狂犬病が、現在では島内ほぼ全域に広がっています。

2.症状

ヒトでの潜伏期間は数週間~数カ月が多いですが、何年も経ってから発症した事例もあります。前駆症状として咬まれた部位の痒みや知覚異常が出ることがあります。発熱、頭痛、嘔吐などで発症し、次いで筋肉の緊張、けいれん、幻覚が現れます。水を飲もうとすると喉がけいれんをおこし(恐水症)、冷たい風でも同様に身体のけいれんをおこします(恐風症)。犬の遠吠えのようなうなり声をあげ、よだれを大量に流し、昏睡、呼吸麻痺が起き、死に至ります。

3.予防方法

  • 動物にむやみに手を出さない。特に犬、猫、ねずみ、リス、サル。
  • 具合の悪そうな動物には近づかない。
  • 予防接種(暴露前接種)を受ける。暴露後接種の回数が少なくて済みます。

4.動物等に咬まれた場合

狂犬病にかかっているおそれのある動物に咬まれてしまった場合、傷口を石けんで洗い(水洗いは無効)、同時に遅滞なく医療機関を受診して、狂犬病ワクチンの接種(暴露後接種)を受けて下さい。暴露後接種の接種方法(回数、接種日、注射法)には何通りかありますが、とにかく暴露直後にワクチン接種を開始することが肝要です。なお、過去の接種歴によっては、破傷風トキサイドの接種も合わせて必要になります。 事前に狂犬病の予防接種(暴露前接種)を受けていても、ワクチンの追加接種は必要ですし、咬まれた傷口の状態・程度によっては狂犬病免疫グロブリンの注射も必要となります。免疫グロブリンは、体重Kg当たりの注射量が決まっているため、注射量は(従って料金も)一人一人異なります。咬傷とその周囲に何か所にも分けて注射することになっています。

5.留意事項

飼い犬については毎年予防ワクチンを接種する必要がありますから、飼い主が「私の犬はワクチンを打ってあるから大丈夫だ」と言っても、鵜呑みにせずに接種日を確認して下さい。

狂犬病免疫グロブリンは、高価な医薬品ですし、使用期限が短いために品薄が続いています。島内に在庫がなく、やむを得ず急遽シンガポール等の近隣国で注射を受けた外国人旅行客の例もあります。

なお、日本国内では、狂犬病免疫グロブリンは未認可のため、注射を受けることは原則としてできません。狂犬病ワクチンについても、在庫状況によっては早急に接種を受けられない可能性があります。

6.参考

デング熱

インドネシアではバリ州を含め各地でデング熱が流行しています。インドネシア語では、「Demam Berdarah/DB(ドゥマム ブルダラまたはデーベー)」と言います。毎年インドネシアで感染した旅行者が日本人だけで20-40人報告されています(国立感染症研究所)。

1.感染源

蚊の中でも、ネッタイシマカ、ヒトスジシマカなどがデング熱を媒介します。これらは古タイヤなど家屋周囲の水たまりで繁殖し、昼間(明け方~夕方)の時間帯に、屋内・屋外で盛んに吸血活動します。都市部で流行しやすく、雨が多い年は蚊が増えてデング熱の感染者が増加します。

2.症状

潜伏期は約1週間です。乳幼児では発熱程度で軽く済むことがあります。年長児や大人では、発熱、頭痛、目の痛み、関節痛、筋肉痛などの症状が急に出て、倦怠感が強く、節々が痛くて身体を動かすのが辛くなります。はしかに似た発疹が出ることもあります。肝機能障害を起こしたり重症化することがあり、普通は入院して点滴を受ける必要があります。特効薬はありませんし、熱が下がっても数週間はだるさが残る厄介な感染症です。重症化してデング出血熱やデングショック症候群となると、命に関わることもあります。

3.診断

血液検査が必要です。新しい診断法(NS1抗原検出)が普及して、インドネシアでも早期診断が可能になりました。

4.予防方法

予防ワクチンは未だありませんから、予防は防蚊対策につきます。衣類は、長袖、長ズボンを着用し、素足でのサンダル履き等は避けましょう。DEET含有の虫除けスプレーや蚊帳等の使用により、蚊に刺されないように注意してください。蚊が繁殖しないように、住宅周囲に水たまりを作らないことも重要です。

5.留意事項

デング熱には反復感染があることを覚えておいて下さい。一度かかっても、数か月したら再び罹ることがあるのです。患者さんの血を吸った蚊に刺されると移りますので、看病する際は、患者さんも介護する方も蚊に刺されないように注意しましょう。

6.参考

ひったくり

金品の被害だけでなく、怪我や最悪な場合には命を失うこともあります。

1.手口

バックを肩から提げて歩行中、後方からバイクに乗って近づき、ひったくって逃走するもの。被害者がバイクで走行中の場合もある。ひったくられたときに転倒し、大怪我を負ったケース、抵抗して刃物で刺されたケースもあります。

特に深夜に繁華街のナイトクラブを出た直後に被害に合う事例が多くみられます。

2.対処方法

  • 夜遅くまで出歩かず、深酒をしない。
  • 歩行するときはバックを車道側に出さない。
  • バイクに乗車、同乗するときは肩にかけず、抱える。
  • もしもの時の危害を最小限度にとどめるために、貴重品は分散して持ち一つのバックに全てを入れてしまわない。

交通事情

バリ島では交通環境が大きく異なります。事故も頻発しており,事故発生時の対応も外国人には困難が伴います。極力自分での運転は避けることをお勧めします。

1.免許について

バリ島では特別に到着査証で訪れた場合のみ、30日間有効の二輪車免許を取得できます。
無免許運転で検挙された場合、禁固刑や高額な罰金刑を課せられることとなります。
また、長期滞在者の場合はインドネシア免許を取得することが必要となります。

2.飲酒運転について

インドネシアにおいても飲酒運転は違法です。
日本と違い呼気検査による認定ではなく、身柄拘束後病院で採血しての立証となります。
また、事故を伴う場合、重い刑罰が課せられますので十分注意してください。

3.運転免許証等の携帯義務

運転免許証、車両の登録証については検問で提示を求められることがよくあります。
違反している場合はその場で車両を没収され、警察で罰金を支払い車両の返還を受けることとなります。

4.その他の交通違反

バックミラーのない車両の運転、ヘルメット、シートベルトの未装着、運転中の携帯電話使用も罰金の対象となります。

パンク盗

空港周辺のバイパスを中心にパンク盜が多数発生しています。

1.手口

車両の主に左後輪に針状のものを刺し、パンクさせる(犯人が走行中「パンクしている」と呼びかける場合もある)。その後点検や修理のため停止し、車外に出ている隙に車内のものを盗んでいく。

2.対処方法

  • 空港、金融機関等の駐車場を出る際は、不審な動きをするオートバイがいないかどうか注意すること。
  • 信号等で停止する際は、左後方に不審な動きをするオートバイがいないかどうか注意すること。
  • 貴重品は、自動車の施錠が出来るダッシュボード内若しくはトランク等外部から容易に取り出せない場所置くこと。
  • 万が一、パンクした場合は、路肩に止まることなく、可能な限り商店、ガソリンスタンド等の人目の多い場所に車を止めるようにすること。
  • タイヤがパンクし修理のために車両から出る際は、直ぐには降車せず、周囲をよく観察して不審な動きをする者がいないか確認すること。可能であれば、周囲の人や知人等に助けを求めること。
  • 修理のため車両を出るときは、必ず車両を施錠し、鞄等は外部から容易に取れ出せる場所(座席等)には置かないこと。また複数の時は、全員がパンクの修理を見守ることなく、必ず1人は車両の右側に位置して周囲を警戒すること。

スリ、置き引き等

 わずかな油断や隙が被害を招きます。金品だけの被害だけでなく、予定どおりに帰国できなくなるなどの影響がでます。

1.手口

タナロット等の混み合った観光地やデパート等でバックを刃物で切られ中から財布等を抜き去る。
食事中に椅子の背もたれに掛けたバックから財布、カメラ、携帯電話等を抜き去る。

2.注意事項

  • 人の多い混み合った場所ではバックは体の前の常に確認できる位置で身につけてください。
  • 食事中所持品を手から離す場合は膝の上か必ず見える位置に置くようにしてください。
  • 食事をしたレストランに忘れ物をしても戻ってくることはほとんどありませんのでご注意下さい。

いかさま賭博

路上で声をかけられ、言葉巧みにビラに連れ込まれいかさま(トランプ)賭博にまきこまれる被害が起きています。

1.手口

(1)犯行グループは、英語を流暢に話す東南アジア系の30~40歳台の男女数人からなり、バリ島クタ地区の海岸通りやレギャン通り等の繁華街において、単独で歩いている旅行者を物色し、適当な旅行者を発見すると、勧誘役の女性が旅行者に「どこから来ましたか?」等と親しげに声を掛ける。

(2)勧誘役の女性は、言葉巧みに、当該旅行者を自宅に誘い、仲間の男が運転する車で繁華街から離れた一軒家に連れて行く。そこに勧誘役の女性の妹や弟等と称する者が現れ、日本のことについて話したり、食事や飲み物が出されたりして、彼らと打ち解けたころに旅行者をトランプ賭博(ブラック・ジャック)に誘う。

(3)そのうち犯人グループは、「いかさま賭博」の方法を教え、「これからトランプ賭博が好きな金持ちの男が来るので、彼から金を巻き上げよう。」と旅行者に持ち掛け、程なく、その金持ちの男(犯人グループの別の一人)が訪れてトランプ賭博が始まり、旅行者は「いかさま賭博」で勝ち続ける。相手の金持ちの男が、「最後にこれまでの負けを取り戻すために大勝負をしたい。大金を用意しているので、そちらもそれに見合うだけの賭け金を用意してほしい。」等と言い出し、旅行者と組んで「いかさま賭博」をしている犯人グループは、「これまでどおりのやり方で絶対に大金を手に入れることができる。この勝負を成立させるためには、見せ金が必要だ。持っている現金をすべて出し、足りない分はクレジットカードでキャッシングをしたり、貴金属等を買ったりすればよい。」等と説得し、旅行者と共に金品の調達に行く。

(4)金品を用意して再び家に戻ると、金持ちの男は既に帰っており、犯人グループは「勝負は明日するので、集めてきた金品は、これまで勝った分と相手が出した賭け金と一緒に、この家にある金庫に保管しておく。」等と言って、双方の賭け金を金庫に保管する。その後、犯人グループは旅行者を食事等に誘い、「明日迎えに行く。」等と言って別れる。翌日、犯人グループは約束の時間に現れず、旅行者が渡された連絡先に電話をすると、「急に用事ができて行けなくなった。あなたは負けたことになり、現金等はすべて取られた。」等と言って電話を切られ、その後は、電話が繋がらなくなってしまう。

2.対処方法

(1)見知らぬ者に声をかけられてもとりあわない。

誘いのキーワード

  • 妹が看護師として日本に行く。
  • 家族が日本で仕事をすることになったので話を聞かせてほしい。
  • 日本のことを教えてほしいので一緒に食事でもしないか。

(2)無理矢理に車に乗せられそうになったら、大声で叫ぶ
(日本語でもかまわないので大声で叫ぶ)

3.注意

以前は「トランプ詐欺」と呼ばれていましたが、「詐欺」ではなく「いかさま賭博」となります。

賭博はインドネシアでも違法であり、この件に関する警察の姿勢は「被害者」より「賭博の共犯者」となる要素が多く、捜査による犯人検挙、被害の救済は困難であることを忘れないでください。

薬物犯罪

薬物犯罪は死刑を含む厳しい処罰が科せられます。旅行中の開放感から興味本位で購入しても重大な結果を招きます。

1.手口

クタ、レギャン、サヌール地区等を歩行中やディスコ内で「草」「マッシュルーム」と声をかけられる。興味本位でついて行き薬物を手渡された直後、警察官に薬物の不法所持で連行される。

2.注意事項

  • 大麻、覚醒剤はもちろんのこと「エクスタシー」や「マジックマッシュルーム」も違法となります(日本で違法とされている薬物は全てインドネシアでも違法です)。
  • おとり捜査まがいの捜査方法が許されており、常習性がなく興味本位で購入、所持した場合も逮捕され、禁固刑となります。

抜き取り詐欺

最近、バリ島の各地にて「抜き取り詐欺」が、連続して発生しています。手口はいろいろとありますが、巧妙な手口もあり、十分御留意下さい。

1.手口

日本へ行くので日本円を見せてほしい、あるいは両替してほしいと話しかけ受け取った紙幣から巧妙に数枚を抜き取ったり、あるいは半ば強引に紙幣を持ち去ります。

犯人は、外国からの旅行者を自称していることが多いようです。

2.対処方法

  • 旅先での出会いは楽しみの一つですが、知らない相手から不審な要求はきっぱりと断ることが肝要です。
  • 両替であれば当然銀行や両替商で行えば済む話です。相手の話に不審な点がないか検討してみてください。